搾取される下流
意外とレビューを読んでくれる人も居るみたいなので、これからも埋もれさせずに精力的に書いていこうと思います。
- 作者: 須田慎一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
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消費者金融についての実態を書いた本。大手の手口(押し貸しや催告状の嵐等)についてはだいたいこんなものだろうなぁ、と思ってたんだけど、大手で借りられなくなった人が中小業者から闇金へと手を出して追い込まれていく様を読んでると、暗澹たる気持ちになります。「レディースローン」とか言っておきながら、それは女性を借金漬けにして首を回らなくさせた挙句に、借金総額+50万円ほどで人に売り払って風呂に沈める*1為だ、という話には驚きました。
この本には200万円を借りた人が月々4万5000円返済するときに、金利が幾らだと何年で完済になるかというシミュレートが書いてるんですが、金利が18%だと一応6年で完済できるのに、金利が27%になると元本が永遠に減らないんです。年収200〜300万円*2の人なら、月々4.5万円も払うと、手元には殆ど何も残らないですよね。そりゃ早晩行き詰りますわ。
顧客をそういう状態に追い込んでおきながら、グレーゾーン金利がなくなると貸渋りが起こり闇金に流れる人が増えるとか言ってるのは、やっぱりおかしいですよね。で、自殺させて生命保険で回収。尤も、消費者金融業者は生命保険会社から融資を受けてるので、バーターなんじゃないかと思いますが。業者自身も「支払う保険料のほう受け取る保険金より多い」と言ってるし。
個人的に面白かった話は、半蔵門線が東急田園都市線とだけ繋がってた時は広告も大人しかったのに、東武と直通するようになると急に債務整理を手がける司法書士事務所の広告が増えた、という記事かな。格差が静かに広がっている事を感じさせられました。