日帰りの旅Vol.2〜平泉・角館編

朽ちた武家屋敷

名古屋から日帰りで行ける距離じゃないだろ、と思ったそこのアナタ、さすがですね。日本地理はバッチリです。ただ、これを書いている人間はとてつもなくアホなので、常識外れの事を平気でやるんです。というわけで、どうぞ。

1.序章〜名古屋まで

私は、一人旅に出ないとどんどんストレスが溜まっていく。ストレス耐性が弱いのか、はたまたそれだけストレスを感じる職場に居るからなのか。まぁ、それはどうでもいいとして、今回も臨界点を超えそうになったので、方面だけ決めて何も持たずに旅に出てしまいました。
会社の送別会が終わった後、家に帰ったら9時。いろいろ支度して夜10時くらいに家を出て、名古屋に向かう電車に乗り込んだら同期と遭遇。何をしに行くか聞かれるんだけど、当然何も決まってないから「東京」とだけ。でも、私が何を答えようが彼女には関係ない。だって、ワガママだから。しかも表面じゃなくて本質的な部分がワガママだから、言葉のキャッチボールがうまくいかない。ええ、非常に苦痛な時間でした。これについては、また語る機会があればゆっくり語ります。
名古屋着が11時半。発車まで30分足らず。切符も何も持っていない俺は非常に焦ってました。そもそも、こんな時間から長距離切符って買えるんだろうか。怪しみながら切符売り場に並んでみることに。まぁ、当然ながら軽く買えました。「東京経由で盛岡まで」と言っても顔色一つ変えずに発券してくれてありがとうございます。
今回乗るのは夜行快速の「ムーンライトながら」。乗車券と指定席券だけで乗れる快速。夜行バスと大して値段が変わらないんです。全席指定で名古屋から豊橋方面への終電という電車の性質上か、はたまた金曜の夜だったせいか、酒臭い背広の方々が多くいらっしゃいました。18切符のシーズンには別の臭(以下自主規制)
しかし、18切符のシーズン外は空いていて、夜行だから照明くらい落としてくれるだろうと思ってた俺は愚かでした。立ってる人こそ居ませんでしたが、座席は殆ど埋まってました。そして、照明はついたまま。寝れるかよ。もうよほどのことが無い限り使うまい、と思いながら夢と現実の間を行き来してました。

2.東京〜平泉

東京に4時40分くらいに着。よし、鶯谷か池袋で降りてスッキリするか!とか考えながら山手線に乗ってみたはいいものの、座席が空いてなくて立たなければならない事にショックを受ける。そして、新幹線の始発が6時で、スッキリしてからだと微妙に間に合わないことにもショックを受ける。ちくしょう。仕方が無いので上野で途中下車し駅の中を探検。と、そこで大河ドラマ義経」のポスターを見かけた。よし、平泉だ。新幹線を一関で降りて、そこから普通電車だ。
新幹線で爆睡しながら平泉に到着。この時点で土曜日の午前9時。普段なら寝てる時間。人間って、行動力があれば何でもできるんだなぁ、と感動しました。
駅から歩いて毛越寺へ。庭園がきれいだった。それから町営の温泉へ行った。一番風呂で身も心もスッキリ。ちなみに「源泉100%」という表示があったけど、それって温泉を名乗る以上は当たり前なんじゃないですかね。
そして当地でのメイン先である中尊寺へ。ここ、結構坂になってるんですね。途中で追い抜いた人が何回も滑ってて少し面白かったけど、ヤ○ザ風な外見、舌足らずな喋り方、付き添いの人の「しっかりしてくだせぇ、兄貴」という言葉。シャブチュー!(最低)
金色堂は、やはり綺麗でした。これが平安の昔からずーっと同じ姿なのかと思うと、なかなか心に響くものがありました。芭蕉が「五月雨の降り残してや光堂」と詠んだ気持ちが何となくわかったような。
下山途中、視界が開けたところがあった。眼下に広がる広大な田んぼと、少しの家と、ゆっくりと駆け抜けていく貨物列車。この光景に、なぜかやられてしまいました。「夏草や兵どもが夢の跡」の句が頭の中を駆け巡ります。ああ、来て良かった。
そして、バスで水沢駅に行き、そこから東北本線を北上し、盛岡へ。遠野や釜石に行く「義経北行伝説号」とかいう快速も同じホームに止まってて、かなり心惹かれるものがあったけど、そこは断念。というか、本当に北行伝説ならモンゴルに行った事になってるんだし、シベリア鉄道に直接乗り入れてもらいたいもんだ。

3.盛岡〜角館

盛岡。おお、かなり広くて立派な駅だ。商業施設も充実してるし。実はこの日にチャグチャグ馬っ子があったんだけど、そんなことも知らなかった。これが思いつき旅行の弱点ですな。
ここは今回の目的地なわけだけど、実際ここで何をするかは全く考えてなかった。って、くよくよしてても仕方ないので腹ごしらえ。駅から程近いビルで冷麺を食べる。
(゜д゜)ウマー
これはクセになる味わいだ。麺の固さがまた何ともいえない。一緒に入ってるスイカも箸休めにちょうどいい。多少高かったけど、まぁいいや。
で、食い終わってから本屋へ行って、これから行く場所を決めるために東北のガイドブックを見る。この本末転倒ぶりも思いつき旅行の弱点ですね。で、色々と検討した結果、角館へ行こうと決め、新幹線の切符を買う。たった40分足らずの道のりに2700円か……ま、仕方ないか。
ひたすら山の中を走る秋田新幹線。「こまち」は乗り心地もよく、ついついぐっすりと眠ってしまう。そして、気が付いたら角館を過ぎていた。え、マジっすか!! 旅行でこんな経験をしたのは始めて。仕方ないので、次の大曲で降りて駅員さんに正直に申告。そしたら「寝過ごした?あんでま!」と、思いっきり東北弁。旅情を感じられてよかった。結局、切符に「誤乗」のスタンプを押してもらっただけでお役御免。そして、上りの新幹線に乗って角館へ。
角館。桜はめちゃめちゃキレイらしいけど、時期はとっくに過ぎている。今回の目的は武家屋敷と稲庭うどんだから別にいいけど。で、その武家屋敷は……すばらしかった。お、いいなぁと思って入っていこうとすると表札がかかってたりする訳で。普通に人が住んでるんですよ。実に自然な街並みなので、本当に旅をしてる気分が味わえました。
そして、街中で見かけたのが上に出てる写真。門構えだけ残ってて、中は更地。きっと家族も誰もいなくて家が断絶したんだろうなぁ……とか頭の中で勝手にドラマを考えて勝手に感動してました。
で、駅に戻る途中の喫茶店みたいなところで稲庭うどんを食べて、駅前の物産館でお土産を買って、あとはひたすら新幹線に乗り続けて帰ってきました。
実に無駄な旅行だったけど、ココロは癒されました。またゆっくりと行きたいもんです。